-島宗さんが留学しようと思ったきっかけを教えてください。
海外の大学に進学するということは、文化も人も、日本とは全く違う環境に行くわけじゃないですか。日本国内で進学したとしても、きっと周りに同じ出身校の友達がいて…どんな毎日になるのか先もある程度予想がつく。でもそういった予想がまるでつかない、何が起こるかわからない場所で、純粋に実力を試してみたいというのがずっと自分の中にあって。それが留学を目指した動機の一つになりました。
-進学先であるケンブリッジ大学を選ばれた理由は何でしたか?
まず自分が関心のある経済学においてケンブリッジ大学が長い歴史を持っていて、伝統的な理論を重視する傾向にあったことですね。実際に入学してみて一番良かったのは、「スーパービジョン」というシステム。フェローと呼ばれる、日本の大学では教授とかチューターにあたる教官が、生徒2名くらいを対象に個別に指導してくれるんです。1時間半のセッションが科目ごとに週に3回あって、レポートや課題も併せるとかなりヘビーではあるのですが、マンツーマンの対話を通して疑問も必ず解決できるし、その分野の第一線にいる研究者と直接議論ができるというのは学びが多いです。イギリスではオックスフォード大学も近い形式をとっていますが、その他の大学ではやはり大教室での座学や、少人数でも生徒は10〜20名というところが多い。教授との距離がこれだけ近いというのはとても貴重だと思います。
-大学生活についても教えてください。
とにかく自ら能動的に動かないと成り立たないという印象で、例えばサークル活動ひとつをとっても勧誘されて入るのではなく、入りたいサークルを自分で見つけて在籍メンバーのSNSに直接メッセージを送らないといけない。いざ入った後も活動を強要されることはなく、SNSのイベント一覧を見て勝手に参加するみたいな感じ。本当に自分が何もしなければ、「何もしない」ということができてしまうんですよね。授業もそうで、レクチャーの最後にたくさんの参考文献を紹介されるんですが、それを読むこと自体は課題ではありません。与えられた環境の中から自分で最良を決断するというステップを日常的に求められるので、それが忙しさや充実を生んでいると思いますし、いろんなことに前向きに取り組めるようになったのは自身の成長に繋がっていると感じます。
-1年次から専門科目の履修が始まるイギリスの大学で、経済学を選んだ島宗さんですが、
将来の目標として描いているものはありますか?
社会問題に関して言えば、経済や金融の視点から難民や貧困問題にアプローチしていきたいと考えています。金銭的な理由で教育を受ける機会を失い、貧困からいつまでも抜け出せないでいる人たちをどう支援できるのか、まずは経済的な切り口から学び、その知識と経験を、最終的には日本でも活かしたいです。
ただ、これから経験を積んでいく上で、1つの分野に偏らず視野は広く持っていたいと思っています。留学前に行われた奨学生の合宿で、財団の各事業部を訪問して職員の方から直接話を伺う機会があったのですが、財団内には社会課題に対して多種多様な事業部門が存在するので、その中には自身の興味関心以外の分野もありました。でも実際に話を聞いてみたらすごく刺激になったし、発見と学びが多くあったんです。他者やメディアを通して情報を得るのではない、実際に活動している人から直接話を聞けたことで、改めて一次情報に立ち返ることの重要性も感じました。そういった意味でも、1つの問題に深く入り込むだけではなく、似たようなアプローチをしている別の社会問題に目を向けることが、新しい視点に繋がるのではないかと思っています。
My motto
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絶対的とされる
存在を疑う -
当然のように絶対化しているものを疑うところから理解は深まる。