-石橋さんが留学しようと思ったきっかけを教えてください。
小学生の頃から理科が好きで、学校のプロジェクトで海岸清掃活動に取り組んだことがきっかけで環境問題に興味・関心を抱くようになりました。その後、大学が高校生向けに実施している研究体験プロジェクトに参加し、材料工学の視点から環境について研究しました。このときの経験から、「材料工学の研究者として、気候変動の環境問題に貢献する」という目標を抱きました。環境問題は科学技術だけでなく、経済などさまざまな分野が連携することで実現します。同時に世界規模の課題でもあり、特定の国や地域だけが取り組んでも解決しません。そこで、「多様な文化的背景を持つ人たちがいる環境で学びたい」という気持ちがありました。特にイギリスの大学には世界中から優秀な先生や学生が集まっていることもあって、海外留学を志望しました。
-その後、ケンブリッジ大学に進学された石橋さんですが、大学生活について教えてください。
ケンブリッジ大学には、多様な国や地域から優秀な先生や学生が集まっています。彼らと実験や勉強会を通じて交流を深めることができ、毎日がとても刺激的です。例えば実験では複数の学生と一緒にグループワークを行います。初対面のメンバーでグループを組むことも多く、手が止まっている仲間がいたら自然と助け合っていることにすぐに気づきました。私自身、まだ進学して間もないのですが、早い時期から共に学び、協力し合う関係を築くことができています。
-早くも充実した学生生活を送っていらっしゃいますが、勉強を進めていく上で大変だと感じることはありますか?
ケンブリッジ大学の授業には、「スピードが早く、取り上げるテーマの大枠を示す」という特徴があり、授業で学んだ内容を深く理解し定着させるには主体的に学ぶ必要があります。一方、ケンブリッジ大学には2~3名の学生に対して先生が指導する超少人数制の「スーパービジョン」というシステムがあります。同級生と勉強会を開く機会も日常的にあり、議論を交わしながら学びを深めていくことができます。当初は想像していた以上に学習に時間がかかって大変でしたが、今では、このようなケンブリッジ大学ならではの学びの環境が自分に合っていると感じています。
-これまでの大学生活で、一番印象に残っている経験についてお聞かせください。
最も強く印象に残っているのは、始めてのスーパービジョンで先生や同級生とテーマについて議論した時のことです。講義を受けた直後は理解が浅かったのですが、先生や同級生と意見を交わしていくうちに、学んだことについて具体的にイメージし、応用できるくらいに理解が深まっていくのを感じました。カレッジ制により多様なバックグラウンドを持つ先生や学生と交流できるのですから、とても恵まれた環境に身を置けていると思います。大学以外にも、小学校から高校、専門学校まで数多くの教育機関が集結しており、小規模な学園都市でありながらも大きな学びを生み出しているところに、私自身、大きな魅力を感じています。