-海外大学への進学を意識したきっかけは?
中高一貫校に通っていたのですが、中学生の頃から先輩の中にハーバードやイェールなど海外大学に進学する方がいて、選択肢としては早い段階から知っていました。ただ、最初から海外大学への進学を決めていたわけではありません。大きな転機になったのは、高校時代に出場した情報オリンピックの世界大会です。各国の代表選手と交流する中で、MITへの進学を考えている人が少なくないことを知りました。彼らと話すうちに「世界のハイレベルな人たちと同じ環境で学びたい」という思いが次第に強くなり、それがMITを志望する決定的な理由になったんです。
-いま学んでいることについて教えてください。
現在はコンピューターサイエンスを専攻し、特にAIを中心に学んでいます。1年次は機械学習の基礎を重点的に学びました。AIはブラックボックスのように語られることもありますが、確率統計などの理論に基づいており、全体としての振る舞いは理論的に理解できる部分もあると知ったことは、自分にとって意外な発見でした。2年次からはディープラーニングや生成AI、LLMといった発展的な分野に進み、技術が段階的に発展してきた過程を体系的に学んでいます。授業には最前線で研究に携わる研究者が招かれることもあり、たとえばOpenAIで研究を行っている方が登壇することもあります。いまも進化を続けている分野の最前線に触れられる環境は、MITならではだと感じています。
-専攻する分野やテーマはどのように定めていったのですか?
高校時代からプログラミングに打ち込んできましたし、大学でもコンピューターサイエンスを学びたいという思いはありました。ただ、出願準備を進める中で「自分は何を目指しているのか」を改めて言葉にする必要に迫られました。そして「プログラミングは目的そのものではなく、課題を解決するための道具なのではないか」と考えるようになったんです。そこで「自分はどんな課題に向き合いたいのか」と問い直したとき、強く浮かび上がってきたのが「教育」でした。自分が海外進学や世界大会といった選択肢を知ることができたのも、身近にそうした情報があったからです。「情報へのアクセスの差が、進路や可能性を大きく左右している」と実感したことから、AIの知識を活かして教育の機会の平等に貢献したいと考えるようになりました。
-MITでの生活で印象に残っていることは?
特に印象に残っているのは、ICPCという大学対抗のプログラミングコンテストの予選に出場したことです。3人1組の団体戦で、戦略を練りながら過去問に取り組み、チームで準備を重ねました。競技を通じて絆が深まり、いまでも一緒に食事に行ったりと、交流が続いています。一方で、日々の生活で強く感じるのは「時間が足りない」ということですね。授業や課題に加え、自分の興味のある分野のリサーチや教育活動、趣味のバスケットボールや筋トレまで含めると、一日はあっという間に過ぎていきます。大学で一番好きな場所は、図書館です。夜中でも真剣に作業やディスカッションをしている学生の姿を見ると、自分も刺激を受けます。
-笹川奨学金を受給してよかったと感じる点は?
海外大学は学費や生活費が高く、経済的な支援なしに通うことは難しかったと思います。奨学金のおかげで経済面を心配せず学業に集中できることに、まず大きな価値を感じています。また、出発前の合宿で同期の奨学生と出会えたことも心強い経験でした。MITは日本人が少なく、同じ背景を持つ仲間に出会う機会は限られています。だからこそ、奨学生コミュニティの存在は大きな支えになっていて、機会があるごとに集まったり、連絡を取り合ったりしています。
My motto
-
価値観の
破壊と再構築 -
新しい環境に飛び込むとき、
これまで自分が積み重ねてきた価値観に縛られないように意識しています。
あえて一度それを壊し、人との交流や新たな体験を通して、もう一度組み立て直す。
その繰り返しが自分を成長させてくれると考えています。
失敗したとしても、そこから得られる学びは大きい。
だからこそ、リスクを恐れすぎず、新しい挑戦を選び続けたいと思っています。