-最初に海外大学への進学を意識されたのはいつ頃ですか?
小学生の頃です。私は調和を重んじる日本の文化も大切に思っていますが、周囲の空気を読みすぎて、自分の意見や挑戦したい気持ちを表現できないことに、もどかしさを感じていました。そんな思いを父に伝えたところ、「海外の大学では自分の意見をぶつけ合いながらディスカッションしているよ」と聞かされ、私もそういう環境で学びたいと強く思うようになりました。
-化学に惹かれたきっかけは何だったのでしょうか?
高校では国際バカロレア(IB)プログラムを履修し、自主的な化学実験などを経験しました。その中で、少しの条件の違いでも結果が大きく変わるという実験の面白さに触れたんです。たとえば、使用する薬品の分量をちょっと変えるだけで、まったく異なる反応が起きるんですね。私は元々、化学関連の本やテレビ番組をよく見ていたのですが、実際に手を動かして実験することで「もっと深く学びたい」という思いが強くなりました。
-進学先のUCLでは、どのような授業を受けていますか?
授業のほとんどが化学です。有機化学・無機化学・物理化学の3分野を同時進行で学んでいて、それぞれの内容が絡み合いながら理解が深まっていくのを感じています。数学の授業もありますが、化学の計算に必要な範囲に絞られていて、無駄がありません。ずっと化学のことを考えていられるので、とても幸せです。印象に残っているのは「エアポリューション・プロジェクト」。ロンドン各地に測定用のチューブを設置して、空気中の二酸化窒素の濃度を測るという実践型の授業です。私は公園や川沿い、大通り沿いなど複数の場所で測定したのですが、場所によって驚くほど数値に差が出て、化学が社会と密接につながっていることを実感しました。
-イギリスでの生活に戸惑いはありませんでしたか?
私の場合は海外で暮らしたりインターナショナルスクールで学んだりした経験がなかったので、やはり英語面では苦労をしています。話しかけたくても、言葉が出てこなかったり。でも最近は、自分から周囲の人に話しかける努力もしています。たとえば私と同じように他の国から来ている留学生に、出身国の文化や歴史、最近のニュースなどを調べて話題にすると、たいてい「よく知ってくれているね!」と喜んでくれます。そんなふうにして、少しずつ距離を縮められるようになってきました。
-将来の目標について教えてください。
最終的な目標は、化学を活かして「環境にやさしい持続可能な新素材」を開発することです。そのために、UCL卒業後は修士課程、博士課程へと進学し、研究者としてキャリアを築いていきたいと考えています。ゆくゆくは大学で教えながら研究も続けられたら理想的ですね。
-笹川奨学金を利用してよかったと感じることは?
私はロンドンに知り合いが1人もいなかったのですが、奨学生コミュニティのおかげで、先輩や同期と繋がることができました。家賃も物価も高いロンドンで、安心して生活できるのもこの奨学金のおかげです。最近も同期とオンラインで近況報告をしたのですが、みんなの頑張っている様子に刺激をもらえて、モチベーションが上がりました。
My motto
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諸君、狂いたまえ
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尊敬する幕末の志士・吉田松陰の言葉で、
私は「頭で考える前に、情熱をもって行動せよ」という意味と理解しています。
この言葉は、私が海外大学への挑戦を決めたとき、
そしていまもなお、背中を押してくれる存在です。
挑戦には勇気が必要ですが、情熱を持って一歩を踏み出すことが、
未来を切り拓く鍵になると思っています。