-濵口さんが海外大学への進学を目指したきっかけは?
10歳の時、家族で訪れた福岡の博物館で「エジプト展」を見たことです。古代の遺物から当時の人々の考え方が分かるという面白さに心を奪われて、「考古学者になりたい」と思うようになりました。そして「せっかくならその分野で世界一の大学で学びたい」と考えて調べるうちに、ケンブリッジ大学のことを知ったんです。中学生になってからケンブリッジ大学へメールを送り、出願に必要な資格や成績について問い合わせたところ、「Aレベル」などの国際資格を取得しないと出願すらできないことが分かりました。そこで、そうした資格が取得できるオンラインのインターナショナルスクールへの進学など、準備を進めていきました。
-ケンブリッジ大学の授業はいかがですか?
私は考古学部で学んでいますが、講義・スーパービジョン・実践授業がバランスよく組まれていると感じます。講義は内容がとにかく濃くて、1時間で詰め込まれる情報量がすごいです。講義で学んだ内容を定着させるためのスーパービジョンは1〜3人の少人数で、専門家と直接議論できるのが魅力です。実践授業では、出土した陶器の破片を記録するためのイラストを描く練習などもするのですが、中でも遺体の年代測定に関する実験が印象的でした。その授業は「雪だるまが実験室で殺された」というユニークなシナリオのもと、溶けた水の量から死亡推定時刻を割り出す内容で、年代測定の本質を学べる非常に本格的なもの。自分なりの計算方法を使って計算したところ、クラスでただ一人、私だけが正解を導き出すことができてとても嬉しかったし、自信になりました。
-生活の中での思い出深い出来事は?
「ブリッジマス」というケンブリッジ独自のクリスマス前イベントがとても印象に残っています。友人たちとフォーマルディナーに参加したり、演劇を楽しんだり、シークレットサンタをしたり…と、学期末の高揚感とともに心に残る一日となりました。イギリス人の友人が多く、温かいコミュニティの中で暮らせているのはとてもありがたいです。
-濵口さんの将来の目標について聞かせてください。
私は「過去を研究することで、未来の人間の健康に貢献したい」という思いを持っています。現在は特に「生物人類学」に関心があり、これは人類の進化に加えて、古代人の骨格、疾病、生活習慣などを通じて、人間の身体について探る学問です。過去の人間の身体や疾患を理解することで、現代人の健康や医療にも新しい知見がもたらされるのではと考えています。
短期的な目標としては、ケンブリッジ大学を卒業した後、大学院に進学して博士号を取得し、研究を続けたいです。現在は、8週間しかない学期中に2,000語程度の論文を12本書くなど、課題で忙しい日々を送っていますが、博物館でボランティアをしたり、入学前から本や論文で名前を知っていた世界的に著名な先生方と直接お話ししたりするなど、目標を叶えるために毎日を充実させています。
-笹川奨学金を受けてよかったと感じることは?
物価高と円安の中で、金銭的な不安なく学べているのは本当にありがたいです。また、事務局の方々が海外経験も豊富で、困ったときにすぐ対応してくださるのも安心感があります。出発前の研修ではケンブリッジで学ぶ先輩と知り合えたことで、「一人じゃない」と思えましたし、いまも各地の同期メンバーと交流できていて、心強いです。
My motto
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妥協しない
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地元・長崎県では海外大学に進学をする人が少なく、
ケンブリッジ大学に入学するための情報などはすべて自分で調べて進める必要がありました。
「無謀な挑戦かもしれない」と思ったこともありました。
でも、だからこそ「小さな妥協も許されない」と考え、
常に“自分が納得できるまでやる”という姿勢で取り組んできました。